大豆と○○シリーズ第7回「大豆と女性 -老年期-」

老年期とは、更年期を過ぎた50代半ば以降を指します。女性ホルモンが緩やかに減少し始め、生活習慣病のリスクも高くなります。また、女性ホルモンのおかげで維持していた骨、血管、筋肉、お肌などには変化が現れます。
「人生100年時代」といわれる今、個人差はあるものの老年期が最も長いステージになる可能性もあります。老年期を自分らしくいきいきと楽しむために、今回は、老年期の特徴とその時期に大豆製品が果たす役割についてご説明していきます。

INDEX

老年期のお悩み

大豆製品が果たす役割

おすすめレシピ

老年期のお悩み

老年期のお悩みついて、いくつか紹介します。

1.骨粗鬆症(※1)
骨粗鬆症は、骨強度の低下を特徴とし、 転倒などにより骨折のリスクが増大します。また、骨折により寝たきりの原因になることも。骨密度は若年期にピークを迎え、閉経によって女性ホルモンが低下することにより、骨密度も大きく影響すると言われています。もちろん、若い時に骨密度を高くしておくことが大事ですが、骨密度の低下を運動や食事によって防ぐことが大事です。
2.脂質代謝異常症(※2)
女性の総コレステロール値、LDLコレステロール値は50歳以前では男性と比較して低いですが、女性ホルモンが低下する50歳以降は急速に上昇して男性よりも高くなります。脂質代謝異常症は、動脈硬化の血管障害のリスクを高めるため注意が必要です。
3.筋力低下に伴う体力低下
女性ホルモンの低下によって、骨密度が減少傾向になることで、骨に付着している筋肉も萎縮傾向になったり、筋肉の再生能力も低下すると言われています(※3)。激しい筋トレを行う必要はないですが、筋肉を普段から使うことによって筋肉へ刺激を与えておくことが大事です。
4.皮膚トラブル
上記の骨や筋肉への影響により、皮膚でも大きな変化が現れます。水分量や栄養素が送られなくなり、皮膚(肌)はハリを失うと考えられます(※4)。肌の状態を維持するためにも、骨や筋肉を元気にしておくことが大事かもしれません。

大豆製品が果たす役割

大豆には、大豆にしか含まれない大豆イソフラボンや大豆たんぱく質、その他ミネラルなど多くの成分が含まれています。様々な大豆食品を日常に取り入れることは、上記の老年期のお悩みのサポートをしてくれるかもしれません。
骨密度を高めるためには、大豆イソフラボンに加え、骨の軸となるコラーゲン、骨質に影響するカルシウムやビタミンD、ビタミンKなど様々な栄養素が必要となります。その上では、バランスの良い食事が大事になってきます。また、大豆の摂取量が多いほど閉経後の女性の骨折リスクの低下をサポートすることが報告されています(※5)

また、大豆には、脂質代謝を改善する大豆たんぱく質が含まれているため、コレステロール値を気にする方は毎日の食生活に取り入れていただきたいです。

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おすすめレシピ

老年期を健やかに過ごすための基本となるのは、毎日の食生活です。毎日の食事はさまざまな食材を組み合わせて、適切な量をバランスよくとりましょう。また、高齢の方に増えている「低栄養」(※6)についても知っておきましょう。低栄養とは、食欲の低下や、噛む力が弱くなるなどの口腔機能の低下により食事が食べにくくなるといった理由から食事量が減り、エネルギーやたんぱく質などの栄養が不足している状態のことをいいます。体を動かすためのエネルギーや、体をつくるたんぱく質の摂取を意識することが大切です。

おすすめレシピ 1

たんぱく質を豊富に含むえびを使用したレシピ。目にもおいしい色鮮やかな料理は食欲をそそります。

レシピはこちら

おすすめレシピ 2

1品で様々な食材を楽しめるスープ。豆乳を使用しているのであっさりとした味わい、たくさん食べられます。

レシピはこちら

<注釈>※1:日本内科学会雑誌 111:732-738,2022※2:厚生労働省:令和5年国民健康・栄養調査報告より※3:Kitajima and Ono. (2016) J Endocrinol. Jun:229(3):267-75.※4:小原ら, 皮膚の科学 20巻 (2021) 3号 p.174-178※5:Blanca Alabadi, et al. (2024) Int J Womens Health. Apr 18:16:693-705.※6:厚生労働省「令和元年度 国民健康・栄養調査結果の概要」

小川 静香 先生

監修

小川 静香先生

管理栄養士・公認スポーツ栄養・博士(医学)

日本女子大学家政学部卒業後、東北大学大学医学系研究科運動学分野を修了。企業では、豆乳や大豆の機能性に関わる研究に従事し、管理栄養士として幅広く活動してきた。趣味の筋トレとトライアスロンのトレーニングにみそや豆乳を活用し、体作りや大会に向けたコンディショニングを実践する中で、スポーツ栄養の重要性を感じ、アスリートへの栄養サポートを実施。最近では腸内環境を専門的に学び、その知見をいかした栄養セミナーなども行っている。

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